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1:300年以上続く老舗の経営

今や知らない人はいないであろうかつお節の「にんべん」。高津 農夫也が4代目社長を務めたこの会社は、今や300年以上続く日本の老舗企業です。

1679年に初代・伊兵衛が創業した会社ですが、日本橋に出した店舗は約200年間もそこにあったと記録に残されています。当時はまだ珍しかった「現金かけ値なし」の商い方法を貫いて、多くの人に喜ばれたのだとか。

高津 農夫也は熊谷市御正新田に生まれ、1955年に、十代・伊兵衛の長女と結婚して婿養子となり、「にんべん」の4代目社長に就任。そこで実業家としての手腕を発揮します。

2:時代の流れを読む重要性

「にんべん」は老舗企業として、何世紀にもわたり同じ地に店を構えることにこだわりをもっていました。

しかし、高津 農夫也は結婚したその同年4月に伊勢丹本店「しにせ街」に出店を決めます。また、その後次々と高島屋、東急など全国各地のデパートに出店を果たし、7年後には蕨に工場を作るまでに会社を発展させます。

今となっては「デパートに行けば老舗のものが手に入る」という感覚ですが、当時はデパートに出店することを渋る老舗が多かったのだとか。

しかし農夫也は感情に流されるのではなく時代の流れをきちんとよみ、高度経済成長の波に乗ることができたのです。もし農夫也がデパート進出を果たしていなければ、洋食の勢いに負けて日本の「だし文化」が廃れていたかもしれません。

3:「当たり前」を疑う

農夫也のように、皆が「当たり前」だと思っていたことと真逆のことをするには準備と勇気がいるものです。私たちは往々にして、これまでのやり方、考え方が「当たり前」になりすぎてしまいます。

「今のあたりまえ」は明日にはそうでなくなっている可能性があるということを、自覚しておくだけでも違ってくるのではないかと思います。

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